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人体を拘束しない心電計測システム

 日常的に心臓の健康状態を把握することは、病状悪化の予防のほか、心不全の早期発見などに繋がるとされています。 一般的な心電計測機器は、煩雑な電極の装着を必要とすることや電極貼付の不快感により、日常的なモニタリングには適していません。 上記の課題に対して、電極を人体に貼付しない、容量結合型電極による心電計測が提案されています。容量結合型電極は、皮膚、衣服、電極がコンデンサを形成することにより、 人体と回路の電気的接続を実現します。これにより、装着の手間なく非拘束での心電計測が可能となるため、日常的な心電のモニタリングに期待されています。
 容量結合型電極を用いることにより、着衣状態での心電計測が可能となる一方で、人体と電極の位置関係を維持するのが困難であるといった課題もあり、 就寝時の人体の姿勢変化に柔軟に対応できる、電極アレイを用いた計測システムを提案しています。これは、測定対象者の姿勢や位置を検出した後に心電計測を行う機構を備え、 姿勢推定と心電計測を同一の電極アレイで実現します。この手法により、就寝時に生じうる姿勢変化の影響を受けることなく安定的な心電計測が可能になり、容量結合型電極での課題点を克服することが期待されています。
 測定対象者の姿勢や位置の検出には、機械学習を用いています。電極アレイ上に測定対象者が横たわり、各電極の静電容量を計測することで、人体のマップを取得します。 ニューラルネットワークはこの就寝時の人体を学習し、人体姿勢を識別する推論モデルを構築します。計測した静電容量から人体姿勢を推定する初期検討として、 現在は左図に示す就寝時の代表的な3つの姿勢(左向き側臥位、仰臥位、右向き側臥位)を対象としています。