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MRC-WPTにおける送電側インピーダンス整合に関する研究
 無線給電とはケーブルなどの物理的接触を介さず、電磁エネルギーによって非接触で電力を伝送する技術です。 この技術は、ケーブルやコネクタなどの消耗品がないことや、密閉して防水・防塵性能の向上が容易であるという特徴から、無人搬送車 (AGV) や電気自動車 (EV)への無線給電の適用が期待されています。 しかし、これらの機器へ無線給電を適用する際には送受電コイル間距離の変化が予想され、これがシステムの性能に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。 特に、SS方式の磁界共鳴結合方式の無線給電(MRC-WPT)では送受電間コイルの給電距離の変化により入力インピーダンスが変化します。 具体的には送受電コイル間距離が近接している場合、入力インピーダンスは大きくなるため、必要な電力を供給するための電源電圧が極めて高くなり、電源の対応範囲を超過する可能性がある。 一方、送受電間コイルの伝送距離が遠い場合、 入力インピーダンスは小さくなってしまうため、過電流による誤作動や装置の故障を引き起こすリスクが高まります。
 そこで、本研究ではこの課題を解決するためにLCL型インピーダンス整合回路を提案します。 LCL型インピーダンス整合回路とはコンデンサとインダクタによって構成される回路であり、各パラメータを調整することで任意の入力インピーダンスを得ることが可能です。 これにより、給電距離の変動に対して所望の電力値を確保しつつ、装置の誤動作や故障を回避するシステムを実現します。 さらに、現在はコンデンサの容量値を電子的に制御可能な容量制御回路を用いてインピーダンス整合システムの自動化に取り組んでいます。
 我々はインピーダンス整合回路の性能評価のため、送受電コイル間距離を15.5cm、17.0cm、18.5cmに設定し、インピーダンス整合回路の有無による影響を比較検討しました。 実験では、目標電力を70mWとしています。インピーダンス整合を行わない場合、全ての距離において要求電力を大幅に下回る結果となりました。 それに対し、インピーダンス整合回路を導入した場合は誤差率±1%以内の精度で目標電力である70mWを実現することに成功しました。 以上の結果から、自動制御可能なインピーダンス整合回路の有用性が確認されました。




研究の担当者
koki hori

M2
堀 孝輝

ryota kikuchi

B4
菊地涼太

soki kimura

B3
木村蒼輝