実社会では、遠隔での作業を可能にすることで生産性の向上が見込めるものが多く存在します。
その中でも我々は、医療における超音波検査の遠隔化とテレワークにおける押印や署名の遠隔化に取り組んでいます。
しかしながら、作業を行うには専門の資格を必要としたり、機密情報を含むもので遠隔での作業に困難が伴い遠隔化の障害となってしまうことが問題となっています。
この問題の対策として従来の汎用作業ロボットの利用や代理作業者の雇用のような、遠隔作業支援技術が挙げられます。
しかし、コスト削減や複雑な作業環境の点において、前述のような作業を実行可能な作業ロボットの実現は困難なため、代理作業者を雇用せざるを得ないのが現状です。
代理作業者が作業における問題点として、取得が許されない機密情報を取得する危険性や専門技術の有無があげられます。
そこで昨今、テレイグジスタンスという技術を用いた遠隔行動誘導技術による作業支援が注目されています。
遠隔行動誘導技術とは、テレイグジスタンス技術と拡張現実感(AR)技術を用いた技術です。
テレイグジスタンスとは、作業者が遠隔地にいながら、現地での作業に近い感覚を保持した状態で作業を行う技術です。
遠隔地にいる専門家の作業映像を、現場の作業画像に重畳表示し、作業の手本を表示することで、現場で専門家の技能を実現することが可能になります。
本研究ではAR/MR技術をベースとし、様々な遠隔作業を可能とする遠隔作業支援技術を研究しています。