本研究では、通信の無線化に伴いLANケーブルが不要となったように、無線給電技術により生活空間から電力ケーブルをも完全に排除することを目指しています。それにより、モバイル機器はもとより、据え置き家電に関しても完全にケーブルレスとなり、家電の位置なども自由に設定できるようになります。景観に関しても改善され、まさに近未来の住宅と言えます。
しかし、現存の安全な無線給電技術においては伝送距離が不十分なため、未だケーブルレス空間の実現には至っていません。そこで、磁界共鳴式無線給電を自律移動ロボットに搭載したWPT-Robot
(Wireless Power Transfer-Robot )を提案しています。
WPT-Robotは、無線給電によって専用ケーブルとの接続が不要となるコネクション・フリーを、自立移動ロボットと組み合わせることで給電可能域を拡張するロケーション・フリーを実現することができます。
これにより、生活空間内に存在する数多ある電子機器に対してWPT-Robotが自動で電力管理をしてくれるため、スマートフォンを寝る前に充電し忘れて落胆することや、リモコンの充電が切れて電池を買いに行くという面倒など、生活していて感じる煩わしさから解放されることができます。
そこで現在は、モバイル機器といった小型電子機器においても搭載可能なサイズの受電コイルと、測位モジュールとして電波タグを実装することで、提案するシステムの実用性の向上を行いました。
電波タグにより給電対象の位置を推定し、その情報を用いてロボットナビゲーションを行い、対象への無線給電を実行します。また、中央管理サーバを外部に設け、給電対象の電圧と距離情報を集約し、給電の要否及び優先順位の決定を行います。そして、WPT-Robotに指令を送ることでロボットの行動計画の最適化を行います。