TOP
容量制御を用いた柔軟コイルでの無線給電
 モバイル/ウェアラブルデバイスの増加に伴い、デバイスの充電忘れや手間が問題となっており、その解決手段として無線給電がにわかに脚光を浴びています。 しかし、人体への安全性や広い給電エリアから生活空間への導入が期待される磁界共鳴結合方式の無線給電では、送電受電のコイルを共振状態としなければ大幅に性能が劣化する問題があるため、これまでは変形のない剛体コイルしか許容されていませんでした。 一方で、人の生活環境を見渡すと、クッションやソファ、ベッド、イス、服やぬいぐるみなど、柔軟な素材が使われることは少なくなく、これらへの無線給電機能の埋め込みは生活空間における無線給電のエリアを大きく広げる可能性があります。
 そこで我々は、柔軟コイル(以下、フレキシブルコイル)を用いた場合であっても磁界共鳴式無線給電を行う手法を研究しています。これにより、柔らかい物体へ無線給電機能を搭載できること、さらには、様々な形状の電化製品を後付けで無線給電化させることも可能となります。 フレキシブルコイルを用いた磁界共鳴結合方式の無線給電では、コイル変形に伴う共進崩れを容量値の制御で即座に解消し、リアルタイムで効率補償を行います。効率のピークは容量に対して単峰性であるため、これまでに単純な山登り法を使ったリアルタイム(整定時間0.5s程度)での効率補償に成功しています。 これは、電化製品にひとたび後付けしたら形状は変化しないような静的なケースはもとより、給電中に形状が変わる動的なケースであっても対応できることを意味しています。
 最後に、効率補償のための共振維持に利用している容量制御回路について概説します。 まず、回路の構造としては、両端に半導体スイッチを設けた制御コンデンサを固定コンデンサに対して並列に搭載したものとなっています。 そして、この半導体スイッチをON/OFFするデューティ比を制御することで等価的な容量を連続的に制御しています。


関連する研究テーマ

容量制御を用いた複数給電の高性能化
さらに詳しく >


磁界抑制可能な磁界共鳴式無線給電システム
さらに詳しく >